2017年WTCC日本ラウンド観戦記

台風21号が日本を通過したと思ったらその直後にフィリピンで台風22号が発生した。月曜日の週間予報では曇り時々晴れだった日曜日の天気は水曜日になると曇りのち雨、金曜日になると曇りが外れ単に雨になった。土曜日の夜に少し雨は大人しくなったが、日曜日の朝6時、目がさめると願いむなしく雨だった。今回は雨の中のレース観戦というわけだ。大昔、ゴールドコーストで雨に見舞われたことがあったが、あの時は昼過ぎから降り始めた半年ぶりの予想だにしなかった雨だった。今回は朝から雨なので心の準備も半ば諦めもついている。
 車に乗って目指すはツインリンクもてぎ。連休でもなく、この雨だからもちろん渋滞はなくスイスイと進む。まあ、もちろんそんなにスピードは出せないが。常磐道を進む間は雨も弱くて助かった。途中の友部SAで朝飯を食べて水戸北スマートICで一般道に降りさらに40分ほど車を走らせるとツインリンクもてぎに到着。コレクションホールのすぐ横の駐車場に止めることができた。10分もあれば中央ゲートまで行ける。ここで前回鈴鹿では持っていったものの新大阪駅の忘れ物預かり所に行ってしまったフェラーリのチームシャツを着て、その上に合羽を着てサーキットを目指す。
 人の数は思った以上にまばら。F1と比べては酷だがレースイベントにしては拍子抜けするほどの少なさだ。まあ、この雨なら致し方ないか。個人的にはこれくらいがちょうどいい。多くの人が屋根が多少あるグランドスタンドに固まっている。茂木のグランドスタンドはオーバルコースを見るためのものだから今回は基本自由席。しかしオーバルレースは雨の中のレースを想定していないからスタンド席は雨ざらしで傘をさしながら観戦する人もチラホラ。
 自分は今回も買っておいたパドックパスでパドックへ向かう。こちらも人は少なめ。ピットはついたてがあってあまり中は見られないし、チームスタッフの出入りも少ない。インディカーの時のようなオープンすぎる雰囲気とは少し違うようだ。そろそろ予選も始まることだし、観戦場所を目指す。

↑えらく閑散としたパドック。この雨じゃ外に出たくないのもわかります。

 今回、前戦開催地の中国から機材の到着が遅れたため、2回目のフリー走行、予選、決勝が1日で行われることになった。フリー走行は8時からなので逃してしまったが、予選、決勝を1日で見られる。日曜日しか来れない身には嬉しい予定変更だった。パドックパスがあるとコース内側の通称「激感エリア」に入れるということでまずは4コーナーアウト側にある観戦スポットを目指す。到着してしばらくすると予選が開始。このエリアにいるのは自分を含めて3人。一人は毎度おなじみ日本野鳥の会も真っ青の望遠レンズ付きの一眼レフ、もう一人はTVクルーが使いそうな大きなビデオカメラ、しかも”4K”と書いてある。どちらも本気の人のようだ。

↑日本期待の道上龍選手。地元の選手がいるというのは本当にいいことですね。

 コーナーを上から見下ろす感じで邪魔な金網もない。やってくるマシンをやや場違いな手のひらサイズのデジカメで撮っていく。この雨の中だから速度はそれほど速くなく焦りさえしなければ大抵は綺麗に撮れる。コーナーの入口と出口で2回シャッターチャンスがあるのもいい。各セッションあまり時間が長くないので各車団子状態でアタックをしていく。予選がQ2、Q3と進むにつれやってくるマシンのボルボとホンダの率が高くなっていく。


↑ラーダとかシボレーとかシトロエンといったプライベーターを早くに撮っておけてよかったです。

 予選終了後はホンダとボルボによるMAC3セッション。双方3台連なってコースを駆け抜ける。これもなかなかいい絵だ。

↑同じマシンが連なって走るMAC3は写真を撮るのにも最適。晴れていたらもっとよかったのに。


↑予選を終えて立ち話中のロブ・ハフとトム・コロネル。
「終わったら寿司食べたいんだけど」(ハフ)「ここは海なんてないんだから寿司なんかよりもっといいもん知ってるぜ」(コロネル)


 セッション終了後中央ゲートに戻って昼食。なんといってもこの雨、飯を食べるのも一苦労。カッパを着ている人は雨ざらしのテーブルで食べている人もいるがほとんどの人は少しでも屋根のあるところで立ち食いである。傘もあるし、汁気のある麺類は危険だ。汁をこぼしてもカッパだから安心だが。それ以外のものであまり並んでいないところということでドネルケバブをいただく。一緒に飲むパンも、と行きたいところだが今回は車なので大人しくコーラで。
 午後はまずピットウォークから始める。ピットウォークはパドックパスに含まれていたのだ。お行儀よく並んでピットレーンに入るとそこからは 雨の中傘の花が咲き歩きにくい中をかき分けていく。

↑メンテナンス中のマシンたち。なんというか、「男の仕事場」って感じですね。
 
パドックでドライバーが捕まらないがここではピットウォーク中にドライバーが出て来てくれてサインや記念撮影に応じてくれている。F1の表彰台経験者であるティアゴ・モンテイロが欠場したこともあり有名どころはホンダのエース、ノルベルト・ミケリス。F1経験もあるマックス・チルトンの兄トム・チルトン。WTCCのベテラン、ロブ・ハフ。全日本F3とフォーミュラニッポンのチャンピオン、トム・コロネルといったところ。皆サービス精神が旺盛でできる限りリクエストに応えてくれる。自分はといえばやはりクルマに興味があるので整備中のマシンを撮っていく。もちろんキャンギャル目当ての人たちも多数。

↑ホンダのキャンギャルは着物を着ていました。外国人に大人気。

 小一時間ほどでピットウォークは終わり、しばしの休憩を挟んでオープニングレースの時間に。予選の時とは違うところで見ようということで、もう一つの激感エリアである5コーナーのアウト側を目指す。極めて狭いスペースにひな壇があるだけの4コーナーのエリアに比べ、こちらは広々としている。高さも十分で写真を撮るのには申し分ない場所だ。唯一レースの状況はわかりづらいのが難点だが、グランドスタンドの実況は聞こえるし、レース進行もオフィシャル向けの放送があるので意外にわかるのだ。

↑私ごときの腕でもこれだけのものが撮れました。まあ、まだまだですが。


 サーキットに入るインスタレーションラップからフォーメーションラップと写真を撮るチャンスは十分にある。ゆっくり走ってくれる上に金網もないという願ったりな状況だ。しかし、本当のシャッターチャンスはレースが始まってから。とにかく各車接近戦でオーバーテイクを狙って行く。多少の接触はアリというWTCCならではのレースの進み方だ。雨などものともしない。いや、むしろこれをチャンスと思っていることだろう。


↑スタート直後の団子状態。F1に比べて安心して見られますな。ぶつかってもそれなりに大丈夫ですし。


↑オーバーテイクシーンにも何度も遭遇。大体ロブ・ハフが絡んでいました。

レースを制したトム・チルトンだけはやや独走だったが、あとは終始抜きつ抜かれつの攻防。久しぶりにレースの醍醐味を見た感じがした。これで写真もいっぱい撮れたのだから言うことなし。
 レース終了後はふたたびパドックへとんぼ返り。程なくして始まるメインレースを前にグリッドウォークに参加する。限定300枚のチケットだったが首尾よく手に入れておいた。ワクワクしながらサーキットが解放されるのを待つ。心得た人達はピットレーン出口に陣取りコースに出て行くマシンを撮ったりしている。レース本番前にこうしてコース上に入れるなんて、どこぞの世界最高峰のレースなら財力プラスよほどのコネクションがないと無理だが同じ世界選手権でもこちらは破格の値段で入り込める。まあ、少しゆっくりめに歩いても先頭から最後尾まで行けないくらいの時間だったが特別な体験をさせてもらった。

↑スタート前の緊張の時間に物見遊山の客が入り込んで写真撮ってます。私もその一人。

 メインレースはレースの流れがわかるようにグランドスタンドから見ることにする。ここもズームをいっぱいまできかせれば最終コーナーを立ち上がるマシンが撮れる。いざ準備万端となったところでスタート時間になったがセーフティーカー先導でのスタートに。やや嫌な予感がしつつレースが始まった。案の定レースが進むにつれて雨足がひどくなり残り2周で赤旗でレースは終了。ホンダのミケリスが勝ったことは嬉しかったが、さすがに雨がひどくなりすぎて表彰式を見るのもきつそうなので結果を知るやいなや車に戻ることにする。

↑遠い上にストレートでスピードが出ているためものになった写真はほんのわずか。ホームストレートは写真に向いてませんな。

 サーキットを出て高速道路に乗るまでが雨のピークだったようで田舎道にはいたるところに大きな水たまりが。そこを豪快に走り抜けて行く様はまるでラリーのよう。帰りの常磐道も渋滞はなく、雨脚も弱まったことで順調に東京まで帰れた。しかし首都高に入ってからまた大雨でそこを猛スピードで走る車にビビりながらなんとか帰宅。6時半についたから約2時間半ほどで着いた。まあ今回は台風が接近している中なのであまり参考にならないが家からもてぎまでの最短の時間はわかった。家についてようやく飲むパンにありつき2度目の雨のレース観戦は終わった。

↑お口直しにキャンギャルの写真でもどうぞ。

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